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道がつながり、希望がつながる

HOPE-JP • Aug 08, 2019

水だけじゃない ホープの事業の波及効果

そもそも何で道路が必要? 

ホープがエチオピアで行う「簡易水道建設事業」と「事業地の道路整備」は切っても切れない関係にあります。それは超がつくほどの田舎にある村まで、道路を使って水道建設に必要なパイプやセメントを運ぶためですが、実は住民自身が事業に貢献できる機会を作ることが、事業を成功に導く大切なエッセンスになるからです。

重機も電気もない村での “ワイルド” な道路づくり 

何はともあれ、道路がなければ村まで行くことすらできません。ホープは事業を始める前に、村の中心まで車が通れるよう、道や橋の整備を住民にお願いします。僻地の村には重機など無いので、全て手作業!過酷な重労働ですが、水事業への期待が高いため、この作業には何百人もの住民が自発的に参加しています。屈強な男性たちは手作りのクワを振るい、橋を作るため巨木を引き、その周りで女性達は歌をうたって彼らを鼓舞します。その光景は迫力満点!

道路が完成すれば、ホープの車輌が資材を運び込めるようになり、事業が始まります。それまで車を見たことのなかった子どもたちも大興奮です。

自分で作ったという”住民の自信”

ここまで話すとよくこんな質問をされます。「なんでホープが道路を整備してあげないの?」
もちろん建設のプロを雇い、瞬く間に道路を作ってしまえば事業は早く始められるでしょう。しかし、ホープがあえて直接住民にお願いするのには理由があります。

キーワードは「オーナーシップ」

それは、住民がホープの事業について「自分たちのために、自分たちがやらなければならないこと」という認識を持つことです。「誰かにお金を出してもらい、作ってもらったもの」という考えのまま事業を進めてしまうと、将来的に水道が壊れても住民たちは自分たちで直そうとはせず、また誰かがやってくれるだろうと考えます。この事業と水道は自分たちのものであり、責任は自分たちにあると認識しなければ、事業は長続きしません。オーナーシップ を持ってもらうために何より必要なのが住民による事業参加。その第一弾がこの道路や橋の整備なのです。汗を流して事業に貢献する経験。これが事業を潤滑に進め、持続性を左右する大切なエッセンスです。

道路ができて変わる村の生活

住民たちが作った道路でホープの車輌が資材を運び込めば、簡易水道の建設作業は滞りなく進み、約2年の事業期間内で給水所や公衆トイレが利用できるようになります。
そして水道と同じく、事業が終わった後も村に通じる道路が残ります。
安全な水が人々の生活を変えるように、道路も村の生活を少しずつ変えていきます。

2018年の事業地、ケチャセンガの村では住民が橋を完成させたことで、救急車が村まで来られるようになりました。それまで徒歩で3時間かかっていた診療所まで20分ほどで行けるようになり、救えなかった命を救えるようになりました。

2013年に水事業が行われたラカの村では道路を整備したことでトラックが通れるようになり、地元の市場はわずか数年で大きく成長しました。今では市場まで電気が通っています。

2019年には、ホープ事業地の中でも最僻地にあるクタ地域まで、住民が整備した道路を使ってバスが通るようになりました。バスの運行は市場の開催日だけですが、バスが通るようになると人やモノの往来がとても活発になり、村の人々にもビジネスチャンスがやってきます。
農業を営む住民は、自慢の野菜を高く買ってくれる市場までバスで野菜を売りに行けるようになります。また、これまで入手困難だった綿花を市場で買い、製糸して綿糸にすることで、村の特産品であるガビ(厚手の綿のショール)を作りやすくなりました。

ホープの主な事業は水道の建設と保健衛生教育ですが、そのために造った道路も事業地に良い波及効果をもたらしています。道がつながり、村がつながり、人がつながる。ホープの事業終了後も、この道路が村に希望を運んでいます。
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