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水にまつわる「2.5」と「70」と「0.01」

HOPE-JP • Mar 16, 2020

水の惑星、水の国に生きる

いきなり突拍子もない導入ですが、私たちは日々たくさんの漢字を目にしています。漢字は「部首」と「つくり」で構成され、漢字の意味を表すのが部首の重要な役割です。では、常用漢字の中で一番多く使われている部首は何か、皆さんはご存知ですか?
タイトルを読んだ時点で感づいた方もいるかもしれませんが、名だたる部首を抑えて、日本で一番多く使われているのは「水」を意味する「さんずい」です。日本は昔から人と水が深くかかわっていたのでしょう。 1

皆さんがテレビや写真で見たことがある地球の姿は、漆黒の宇宙で青く輝いていたのではないでしょうか?実際に地球の海洋と陸地の割合は7:3。海は陸の2倍以上の面積があり、そのために地球は「水の惑星」と呼ばれています。しかしお察しの通り、水の惑星といってもその水のほとんどは海水。残念ながら人間はこの水を飲むことも農業に使うこともできません。
では、地球上に存在する水の中で人間が使える水はどれぐらいあるのでしょうか? 
ここで出てくるのがタイトルにもなっている「2.5」「70」「0.01」という数字です。

水の惑星の本当の姿

地球上に存在する14億km³ もの水のうち、そのほとんどは海水であり、淡水はわずか「2.5%」しかありません。しかも、淡水の「70%」は氷や氷河であり、生活水として使用できません。さらに凍っていない淡水のほとんどは掘削が難しい地中深くに流れる地下水であり、私たちが利用できるは河川や湖、地中の浅いところに存在する水のみです。それは地球上の水のたった「0.01%」 。 2 1.5Lのペットボトルに目薬数滴をさすような量でしかありません。 3
  1. 国土交通省 令和元年版 日本の水資源の現況 (第1章 水の循環と水資源の賦存状況)
  2. 通常の点眼瓶からの1滴の容量は、普通では約40~50μL(0.04~0.05mL)であり、1.5L (1,500ml) に対する0.01%の分量は点眼約3滴分と言える
    参考:慶應義塾大学病院 ウェブサイト
水の割合
では、私たちは水不足の惑星に暮らしているということでしょうか? 
地球上に0.01%しかない貴重な水資源は均等に分布していません。年間を通して安定して雨が降り、貯水できる山や河川に恵まれた国や地域がある一方で、世界人口の半数は、少なくとも1年のうち1ヶ月間深刻な水不足に悩まされています。

特に地球の人口が急増している近年、生活が豊かになるにつれて、飲み水だけではなく食糧生産や工業生産に必要な水も増加し、このままでは2040年までに水不足になる国が今より20か国は増えるだろうと言われています。 4 5
  1. TEDEd「Are we running out of clean water?」 - Balsher Singh Sidhu 
  2. 世界の人口と取水量の推移
    経済産業省 水ビジネス・国際インフラシステム推進室 水ビジネスを取り巻く現状 (2009年)
取水量推移

水不足が引き起こす負の連鎖

ホープの事業地であるエチオピアやカンボジアにも、水不足に苦しむ地域があります。途上国では、上下水道システムなどのインフラが整備されていないことも、水不足を引き起こす原因になっており、現在も世界人口の10人に3人は安全に管理された飲料水サービスを利用できていません。 6

水へのアクセスが保証されていない生活は、貧困問題に負の連鎖を生み出しています。水汲みは多くの場合、女性と子どもたちの仕事であり、彼らは毎日水汲みに追われ、それは時に子どもたちから教育の機会を奪っていました。水道のない地域では水でお腹を壊しやすく、毎日、世界のどこかでおよそ1,000人の子どもたちが水や衛生関連の下痢症により命を落としています。 7
安全な水へのアクセスがないために、人々は衛生的な生活が送れず、子どもたちは教育の機会を奪われ、この連鎖の中に囚われ続ける彼らは自立へのきっかけを失っていました。
だからこそ、ホープは生活の基盤であり土台である「安全な水へのアクセス」を提供することで貧困問題の解決に取り組んでいます。カンボジア西部ポーサット州では井戸を設置し、エチオピア南部諸民族州では動力を必要としない重力式簡易水道を建設しています。人間は食べ物がなくても2〜3週間生きられるといわれていますが、水がなければ5日が限度です。世界中の人々が平等にこの限られた水資源にアクセスでき、尊厳ある生活を送れるよう、ホープは活動を続けています。

世界の水不足は日本の水不足にもなりうる??

一方、日本に住んでいると「水不足」という言葉にピンとこないかもしれません。しかし、世界の水問題は日本にとって決して対岸の火事ではないのです。

水の豊な国と言われる日本ですが、実は同時に世界最大の「水輸入大国」でもあります。
バーチャルウォーターという言葉をご存知でしょうか?これは輸入する農作物や畜産物、工業製品の生産に必要な水の量のことです。食料自給率が低く、さらに衣類から日用品まで多くのモノを輸入に頼っている日本は、実は生産国の水を間接的に大量に消費しており、水を輸入していることと同様と考えられています。2005年の時点でその量は年間約800億m³ 、琵琶湖3杯分の水量にもなります。 8 9

日本は天然資源の少ない国と言われていますが、これだけ日常にきれいな水が溢れているのは、世界的に見れば特別なことなのです。ぜひ、皆さんも自分の生活にどれだけ水を使っているのか、少しでも節水できないか、他国の水を消費して作られた食事を残して捨ててしまっていないか、世界水の日を機に今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?

皆さまからのご寄付により水供給事業は支えられています。

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