自分たちの力で貧困の連鎖を断ち切る

ティアラ・ベネラガマ • May 19, 2026

カンボジア・ポーサット州の人びとが、自ら変化を生み出す地域づくりを支えるホープの取り組み

Smiling adult holding a child while harvesting fruit from a leafy tree outdoors

ティアラ・ベネラガマ

ホープ・インターナショナル開発機構 インターン。カンボジア・ポーサット州での支援について学ぶ中で、本記事を執筆。

「循環」は、私たちの暮らしの根本にあるリズムです。季節の移り変わり、地球の自転、そして種が芽吹き、子どもが成長していく人生の歩み。こうした循環は、本来、成長や継続、再生を象徴するものです。しかし、世界の農村部では、多くの家族がそれとは正反対の厳しい「循環」の中に置かれています。それが「貧困の連鎖」です。これは成長へ向かう循環ではなく、ある世代の資源不足や困難が、次の世代にも引き継がれてしまう終わりのない繰り返しです。


カンボジアのポーサット州では、今なお多くの人びとがこの厳しい貧困の連鎖の中で暮らしています。国全体では経済発展が進む一方で、農村部では依然として約半数の人びとが安全な水を利用できません。安全な水がないことは、深刻な悪循環を引き起こします。汚染された水は、コレラや赤痢といった体力を奪う水系感染症を招き、それがこの国における5歳未満の子どもたちの主な死因となっています。子どもたちは病気によって学校を休まざるを得ず、また親が病気で倒れたり、遠くの水場まで何時間もかけて水を汲みに行かなければならなかったりすると、農業に取り組むことも、収入を得ることも難しくなります。この地域では、人口の約80%が雨水に頼った農業で暮らしています。そのため、わずかな天候の変化や一度の病気でさえ、家族の食料事情を大きく揺るがします。その結果、多くの家庭が、毎日を生き延びることで精一杯の状況に置かれているのです。


カンボジアのポーサット州では、今なお多くの人びとがこの厳しい貧困の連鎖の中で暮らしています。国全体では経済発展が進む一方で、農村部では依然として、安全に管理された飲み水を利用できる人は限られています。特に、雨水に依存し、集落が点在するポーサット州は、安全な水への支援が届きにくい地域の一つです。

安全な水がないことは、深刻な悪循環を引き起こします。汚染された水は、コレラや赤痢といった体力を奪う水系感染症を招き、下痢性疾患は今なおカンボジアの5歳未満児の主要な死因の一つとなっています。子どもたちは病気によって学校を休まざるを得ず、また親が病気で倒れたり、遠くの水場まで重い水を運ぶために長い時間を費やしたりすると、農業に取り組むことも、収入を得ることも難しくなります。

この地域では、多くの家庭が雨水に頼った農業で暮らしています。そのため、わずかな天候の変化や一度の病気でさえ、家族の食料事情を大きく揺るがします。その結果、多くの家庭が、毎日を生き延びることで精一杯の状況に置かれているのです。

Man standing beside a large round water tank in a garden, holding a blue bucket and smiling

ホープ・インターナショナル開発機構は、この貧困の連鎖を断ち切るためには、一時的な支援だけではなく、人びとが自ら未来を切り拓いていける土台づくりが必要だと考えています。1991年にポーサット州での活動を開始して以来、ホープは地域の人びとが自分たちの力で未来を築いていくための支援を続けてきました。これまでに1,300基以上の井戸を設置し、何千人もの人びとへ安全な水を供給してきました。しかし、ホープは「水」は始まりに過ぎないと考えています。そのため、学校建設による教育支援や農業支援、さらにマイクロクレジットやアニマルバンクを通じた生計向上など、多面的な取り組みを進めています。

こうした活動の中心にあるのは、「支援への依存」を生まないことです。ホープは井戸を設置して終わりではなく、1基の井戸を共同利用する世帯グループ(WUG:Well User Group)作りを支援しています。これは地域住民自身が運営するグループで、井戸の維持管理や会計について研修を受けます。各家庭が少額の利用料を出し合うことで、将来必要となる修理費を自分たちで確保し、長期的に井戸を維持できる仕組みをつくっています。また1,000件以上の貸付を行ってきたマイクロクレジット事業では、返済されなかったケースは一件もなく、多くの女性たちが小規模ビジネスを始め、地域全体の暮らしを支えています。こうして生まれているのは、新たな「循環」です。それは、自立する力を育み、技術や知識を身につけながら、地域が持続的に成長していく循環です。

Teacher leading an outdoor lesson to a seated group of children under trees

ポーサット州の人びとにとって、これらの取り組みは単なる「インフラ整備」ではありません。何世代にもわたり困難な暮らしを続けてきた人びとにとって、初めて「未来」に成長や可能性を感じられるようになったことを意味しています。

たとえば、一杯の水が原因で子どもたちの体が弱っていく姿を、もう見続けなくてよくなった母親の安心。あるいは、初めて家族を養うのに十分な米を収穫でき、さらに娘の教科書代まで払えるようになった父親の誇りを想像してみてください。

ホープの活動は、あくまで最初のきっかけであり、人びとが未来へ向かって歩んでいくための土台にすぎません。本当に地域を変えるという「大きな役目」を果たしているのは、学校へ通う子どもたちであり、自分たちで井戸を管理する住民たちであり、小さな融資を地域のビジネスへと育てている人びと自身なのです。

Group of people standing outdoors, holding baskets of colorful produce and greens on a path near a building

ホープは、地域の人びとが教育と自立の循環を自ら築いていけるよう支えています。そして、その取り組みを通じて、大人も子どもも誰ひとり取り残されない地域づくりを目指しています。こうした協力の積み重ねによって、厳しい貧困の連鎖は、持続可能な「機会の循環」へと少しずつ変わり始めています。ポーサット州の人びとは、自分たち自身の力で未来への道を切り拓いています。

ホープの活動は、皆さまからのご寄付に支えられています。