ホープとともに歩んだ12年

アンソニー・ブカン • November 16, 2025

こんにちは。ホープでボランティアをしているアンソニーです。みんなからは「トニー」と呼ばれています。フランス出身で、2010年の初めに名古屋へ来て、機械工学の博士課程の研究をしていました。


私は日本に残ることを決め、それ以来、国内のさまざまな大学で働く機会に恵まれました。


現在は慶應義塾大学(横浜)で光学設計と加工技術の准教授をしています。

Three people in a lab, focused on an apparatus with a lamp. One man leans in close, smiling.

2011年3月11日、東日本大震災が発生したときも日本にいました。被害の大きかった地域からは離れていましたが、名古屋でも大きな揺れを感じました。ニュースで津波による被害と苦しみの深刻さを実感し、私の心の奥で何かが動き始めました。被災地の人びとのために、自分にも何かできることはないか――そんな時に出会ったのが、ホープ・インターナショナル開発機構(ホープ)でした。当時、ホープは東北で支援活動を行っており、私は「ホープ・ナイト」というシューターズ・スポーツバー&グリルで毎月開催されていたイベントに参加しました。そこで名古屋のボランティアチームと親しくなり、それからは「チャリティーディナー」などのイベントに、定期的にボランティアとして参加するようになりました。


チャリティーディナーは、名古屋・関西・東京で開催されるディナーイベントです。多いときには約200名の参加者がホープの活動報告を聞き、サイレントオークションや寄付などを通して資金を募ります。スタッフやボランティアチームは、イベントを楽しく魅力的なものにするよう常に努めています。また、「水で乾杯」を通して、安全な水へのアクセスの大切さを伝えています。チーム全体で工夫を重ね、感動的で楽しいひとときをつくりあげています。

この12年間、私がホープでのボランティアを続けてこられた理由はいくつかあります。

Two men posing with a cardboard Instagram frame; smiling, flashing peace signs. Promoting HOPE International.

一つ目は、団体の透明性の高さです。年次報告書では、チャリティーディナーなどのイベントで集まった寄付金が、カンボジアやエチオピアなどで人びとの生活をどのように変えているかを知ることができます。


二つ目は、事業地の家族や地域社会を支える活動の一つひとつがしっかりと考え抜かれていることです。安全な水へのアクセス(井戸や簡易水道の設置)から始まり、生計手段の支援(アニマルバンクやマイクロファイナンス)へ、そして教育の機会提供(学校建設)へとつながっています。これは、人びとが貧困の連鎖から抜け出すための最も理にかなった道筋だと感じています。毎年チャリティーディナーで上映される活動報告映像では、こうした小さなきっかけ(支援)によって地域が尊厳を取り戻し、自ら前進していく姿が映し出されます。

最後に、三つ目の理由はホープの活動を支えている人々の存在です。これまでホープを通じて本当に多くのすばらしい人たちと出会いました。今では生涯の友人と呼べる人たちもいます。これは私にとって何ものにも代えがたい宝物です。


これまで日本では、災害支援や援助といえば国が中心に行うもので、個人が関わる必要性はあまり理解されていませんでした。けれども、私が日本で過ごしてきた15年間で、その状況は大きく変わったと実感しています。ホープのような団体がこの認識と行動の変化を後押ししてきたと思います。この変化の風を自らの目で見てきたこと、そしてこれからもホープの活動に少しでも関われることを光栄に思っています。

ホープの活動は、皆さまからのご寄付に支えられています。