地域とともにつくる学びの場-カンボジア学校建設事業-

「学校に通える」ことが当たり前ではない現実
カンボジアの農村部では、「学校に通えること」が決して当たり前ではありません。校舎や教室が足りない地域では、授業を午前・午後に分けて交代で行う二部制(ダブルシフト)が一般的です。雨季には雨が降り込み、暑季には強い暑さにさらされる建物で、厳しい環境の中で授業を続けている学校も少なくありません。
それでも子どもたちは、学びの機会を求めて学校に集まってきます。その姿は、「学びたい」という強い思いとともに、学ぶための環境がまだ十分に整っていない現状を私たちに伝えてくれます。
なぜ学校をつくるのか
ホープは、教育を「自立のために欠かせない基盤」と考えています。子どもたちが安心して通える学校があることは、学びを継続できるだけでなく、将来の仕事や生き方について自ら選択していく力にもつながります。
また、学校は子どもたちだけの場所ではありません。地域にとっても、人びとが集まる大切な拠点です。学校が整備されることで、地域の人が関わり合いながら、子どもたちの学びを支え続けていく土台が生まれます。
だからこそホープは、「校舎を建てる」こと自体を目的にするのではなく、完成後も地域に根づき、長く活用され続ける学校づくりを大切にしています。
これまでの学校建設の実績
ホープは2007年からカンボジアで学校建設支援に取り組んできました。これまでに16校の学校建設・改修を行い、約4,000人の子どもたちの学びの環境改善につながっています。
校舎は鉄筋コンクリート造を基本とし、複数の教室を備えることで、より多くの子どもたちが安全に学べる環境づくりを進めています。

教育の背景と、今も残る課題
カンボジアでは、長年にわたり教育環境の整備が大きな課題となっていました。過去の内戦やクメールルージュ時代には、教育制度が大きな打撃を受け、多くの学校や教員、教育の仕組みそのものが失われました。
その後、限られた資材と資金の中で、木造や簡易構造の校舎が各地に整備されてきましたが、現在では老朽化が進み、改修や建て替えが必要となっている学校も少なくありません。

教室不足と教育の質を高める動き
現在も多くの地域で教室数が不足しており、授業を午前と午後の二部制で行う学校が一般的です。二部制は、限られた教室で学ぶ機会を確保するための工夫である一方、学習時間が短くなるという課題も抱えています。
こうした状況を背景に、学習時間を十分に確保するため、二部制を解消し終日教育(フルデイ)への移行を目指す議論も進められています。あわせて、教育の質の向上に向けた教員改革も進み、教員養成制度については、短期養成中心の仕組みから、学士(4年制)レベルを基本とする制度へと移行する流れが見られます。
子どもたちが長期的に学び続けられる環境を整えるには、制度と学習環境の両面からの支援が、今も求められています。

地域とともにつくる学校
学校建設は、地域や教育局からの要望をもとに検討が始まります。ホープは現地スタッフや関係機関とともに、建設の必要性や優先順位を確認し、地域の人びとと話し合いを重ねながら計画を進めます。
建設後も学校が安心して使われ続けるためには、地域の関わりが欠かせません。学校によっては、清掃や環境整備に生徒や地域住民が参加する日が設けられており、学校が「地域のもの」として守られている様子が見られます。
ホープは、校舎を一方的に提供するのではなく、地域の主体性を大切にした「建てて終わり」にしない学校づくりを大切にしています。
学校ができてから生まれる変化
校舎が整備されることで、まず大きく変わるのは「学びの安定」です。雨季でも授業を続けられるようになり、安全面への不安が減り、子どもたちが落ち着いて学べる環境が整います。
また、学習環境が整ったことで、子どもたちが学校に通いやすくなったり、学校が地域の拠点として活用されたりと、さまざまな変化が生まれています。教育は、子どもたちが将来に向けて学び続ける力を育むものです。学校建設は、そのための土台を整える取り組みでもあります。

学びの場が未来につながっていく
学校建設は、子どもたちが安心して学び続けられる場所を整える取り組みです。学びの場が生まれることで、子どもたちは日々学習を積み重ね、将来に向けた力を育んでいきます。その積み重ねは、地域の将来にもつながっていきます。
皆さまのご支援により、カンボジアの農村部では学びの環境が改善されてきました。ホープは今後も、地域の人ととともに、子どもたちの「学び続ける力」を支える教育環境づくりに取り組んでいきます。
ホープの活動は、皆さまからのご寄付に支えられています。
